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※本稿は、ビジネス+ITからの転載記事です。(掲載日時:2021年10月28日) photo-top

東京スター銀行「契約件数26%増」の秘密、
嫌われないWebサイトが超重要と言えるワケ

株式会社東京スター銀行

個人金融部門 セグメント戦略推進部 デジタルビジネス推進 次長 圓成 宏幸様
個人金融部門 個人商品部 ウェルスマネジメント商品 ヴァイスプレジデント 三浦 久幸様
(所属は、取材日時2021年9月当時のものになります)

株式会社東京スター銀行(以下、東京スター銀行)様は、2021年6月に創業20周年を迎えられた東京都港区赤坂に本店を構える第二地方銀行。銀行にとって重要な要素である「安心」と「信頼」を基本に、東京スター銀行の強みである「ユニークさ」を取り入れた経営理念を掲げ、地方銀行という枠にはまらない独自の立ち位置を築かれています。特徴のある商品の開発・提供と共にインターネットへの対応も早くから積極的に進められており、インターネットで投資信託を売買できるサービスも提供しています。多くの企業において、「モバイルファースト」が当たり前になりつつある中、投資信託サイトへ「モバイルコンバートプラス」をご導入いただき、2020年9月にPCとスマホそれぞれに最適化されたサイトをリリース。この度、スマホ専用サイトを提供したことにより顧客の利便性向上を実現することができました。

低コスト・短期間でスマホ専用サイトを作る方法はあるのか?東京スター銀行の担当者に話を聞いた。

2021年に設立20周年を迎えた東京スター銀行は、早くからインターネットで投資信託を売買できるサービスを提供していた。ところが、同サービスが利用できるWebサイトのデザインはスマートフォンに最適化されておらず、スマートフォンからアクセスしてもPC用サイトが表示されるという課題があった。そこで、スマホ専用のWebサイト構築を決断。ある手法により低コスト・短期間でサイトを構築し、大きな成果を上げた。東京スター銀行の成功体験の裏側に迫る。

インターネット投資信託サービスサイトのスマホ最適化が課題に

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2001年に誕生した東京スター銀行は、個人顧客の資産形成を支援する「ファイナンシャル・ラウンジ」という店舗を全国主要都市に展開し、不動産を担保とするローンや高齢者の老後資金を支援するリバースモーゲージなど、特徴のある商品を次々と開発・提供している。

インターネットへの対応も積極的に進めており、たとえばインターネットバンキングはもちろん、インターネットで投資信託を売買できるサービスなどを提供している。個人金融部門 セグメント戦略推進部 デジタルビジネス推進 次長の圓成宏幸氏は、Webサイトやシステムの開発で重視している点を3つ挙げる。

「第1は『分かりやすさ』です。操作性やデザインについては、お客さまにとっての分かりやすさを最も重視しています。2つ目が『信用』です。お客さまは銀行に対して無条件で信用を求めます。それを裏切らないよう、シンプルでトラブルのない仕組みを心がけています。3つ目が『価値』です。当行のサービスを通じて、お客さまに何らかの価値を感じていただけることを大切にしています」(圓成氏)

圓成氏が語る3つのポイントを意識し開発に取り組んできた同行だったが、目標として掲げる「資産形成層(≒若年層)の顧客拡大」を達成するためには、スマホ対応が大きな課題となっていたのだ。

「以前からPC向けに投資信託を取引できるサービスは提供していましたが、スマホでアクセスしてもPC用サイトが表示されるため、文字が読みにくかったり、操作が面倒になったりするといった課題がありました。つまり、日常的にスマホを活用する若年層に対して、十分な取引環境を提供できていなかったと言えます」(圓成氏)

そこで、投資信託システムを刷新するタイミングに合わせて、PCだけでなく、スマホにも最適化されたWebサイトを構築することになったのである。

金融機関の導入実績が豊富、個人情報を蓄積しない「モバイルコンバートプラス」を選択

スマホに最適化されたサイトを構築するには、いくつかの方法が考えられる。1つは新規構築する方法だが、コストもかかるほか、PC用とスマーフォン用の2つのサイトを二重に運用しなければならない。

そこで東京スター銀行が採用したのが、既存のPC用サイトをそのまま利用し、スマホ用サイトに変換する方法だ。そして、サイト変換の仕組みとして選択されたのが、エムティーアイの「モバイルコンバートプラス」だった。

「モバイルコンバートプラス」は、PC用サイトのHTML、JavaScript、CSSなどの要素を、一定のルールにしたがってスマホ用に変換する仕組みとなっている。このため、スマホ用サイトの新規構築と比べると、低コスト・短期間でスマホ用サイトを構築することができる。

変換する際、コンテンツそのものはPCサイトと同じ内容になるが、スマホ用サイトのボタンのデザインや文字の見せ方などは自由にデザインできるため、スマホに最適化したレイアウトも実現できるのだ。

モバイルコンバートプラスを選んだ理由について、圓成氏は次のように説明する。「1つは導入実績です。モバイルコンバートプラスは、金融系サイトでの導入実績が豊富でした。また、サイト上に個人情報を蓄積しないため、セキュリティ面で安心だったのも決め手になりました」(圓成氏)。

また、国内で販売されているスマホ全機種による検証体制が整備されている点も、モバイルコンバートプラスの特徴と言えるだろう。

「我々も銀行内にテスト用の端末は持っていますが、シェアの大きい端末に限られています。一方、エムティーアイさんは国内で利用されているほぼすべての端末で検証が行える体制を保持されているため、構築時やサイト更新時の検証をより品質高く行えると判断しました。またお客さまから問い合わせをいただいた際には同じ環境を再現して確認ができることも導入を後押しする要因となりました」(圓成氏)

こうして同行は、2019年12月からプロジェクトをスタート。約8カ月の開発期間を経て、2020年9月、PCとスマホそれぞれに最適化された新しいインターネット投資信託サービスのサイトが公開された。

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東京スター銀行の導入スケジュール

見やすさ・分かりやすさが向上、投信契約件数は約26%増加

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スマホ専用のサイトが提供されたことで、顧客の利便性は確実に向上した。たとえば、文字の見やすさも、その1つだ。個人金融部門 個人商品部 ウェルスマネジメント商品 ヴァイスプレジデントの三浦久幸氏は次のように述べる。

「投資信託の購入時には、注意事項や留意点などを多く読んでいただく必要があります。従来はスマホからの閲覧であってもPC向けのレイアウトで表示していたため、文字サイズや改行箇所の違いによって読みにくくなるケースがありました。しかし、スマホ専用のサイトができたことでこうした問題がなくなったことは、非常に良かったと思います」(三浦氏)

新しいサイトの成果は、具体的な数値としても表れている。それが投資信託の契約数だ。三浦氏は、「2020年の上半期と新サイト構築後の2021年上半期を比較すると、インターネット経由の契約数は26%伸びています。投資信託自体も好調で全体で15%伸びましたが、インターネット経由の契約数がそれを大幅に上回っていますので、スマホ用サイトの成果が現れたと考えています」と話す。

もちろん、市場環境の変化、コロナ禍によるリモート化の進展などの影響も考えられるが、三浦氏は「もしも、スマホ用サイトがなかったら、契約前にサイトを離脱するお客さまが多かったと思います」と、その意義を強調する。

なお、同行がスマホ用サイトで拡大を狙っている若年層については、今後、詳細な分析が行われる予定だ。PC経由、スマホ経由それぞれの契約者の属性に違いが確認できれば、それが今後の戦略にも生かされることになるだろう。

スマホで完結するサービスの強化・拡充を目指す

東京スター銀行のスマホへの対応は、今後も継続される。今回のスマホ専用の投資信託サービスサイトだけでなく、すでに残高照会や振り込みなどができる「東京スター銀行アプリ」も開発・提供済みだ。圓成氏はスマホの重要性を次のように述べる。

「我々は『ファイナンシャル・ラウンジ』のように対面でのビジネスを得意とし、強みともしていますが、コロナ禍の影響もあり、限界があるのも確かです。しかし、スマホであれば、お客さまは自発的に取引していただけます。これまで我々があまりリーチできていなかったお客さまとのタッチポイントとしても、さらに力を入れていきたいと考えています」(圓成氏)

そこで重要になるのが、スマホに最適化されたWebサイトだ。ただし、さまざまなスマホサイトに慣れ親しんだ若年層は、サイトへの評価がシビアなのも間違いない。

「PC用サイトをそのまま表示したり、見た目を少し変えたりする程度では、お客さまはそれを敏感に感じ取って、手続きを途中でやめてしまうかもしれません。そうならないように、スマホだけでストレスなくすべての手続きを完了できるように、今後も使いやすさの向上に努めたいと思います」(圓成氏)

なお、サイトは公開して終わりではない。操作性の向上はもちろん、法改正などに伴う更新も必要になる。その際も、モバイルコンバートプラスであれば、PC用サイトとスマホ用サイトを同時に更新できる。もちろん、スマホ全機種による動作検証も可能だ。

現在、多くの企業では、スマートデバイスを最優先に商品やサービスを開発・提供する「モバイルファースト」が当たり前になりつつある。それは金融の世界でも同様だろう。東京スター銀行のスマートデバイス対応を支援するため、今後もモバイルコンバートプラスが活躍する機会は増えそうだ。

※本稿は、ビジネス+ITからの転載記事です。(掲載日時:2021年10月28日)

東京スター銀行 圓成様、三浦様
お忙しい中、取材にご協力頂き、ありがとうございました。

株式会社東京スター銀行
東京スター銀行インターネット投資信託サービス スマートフォンサイト https://www.tokyostarbank.co.jp/tokyostardirect/investment/
導入サービス:モバイルコンバート
取材日時:2021年9月
取材場所:オンラインにて実施

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