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※本稿は、ビジネス+ITからの転載記事です。(掲載日時:2022年9月26日) photo-top

顧客満足度4.5。
ユーザー志向を追求するMyセブン銀行アプリの取り組みとは?

株式会社セブン銀行

デジタルバンキング部 副部長 兼 グループ長 紙中 加代子様

バンキング統括部 サービス開発グループ 山下 利花様
(所属は、取材日時2022年8月当時のものになります)

株式会社セブン銀行(以下、セブン銀行)様は、2021年に創業20周年を迎えられた日本を代表する大手流通企業グループ「セブン&アイ・ホールディングス」傘下の銀行。コンビニATMを活用した金融サービスを主軸として事業を展開しており、開業以来、「近くて便利」「信頼と安心」を実現するユニークな銀行を目指されています。キャッシュレス決済が浸透している中で、最短10分での口座開設やスマホのみでATM取引ができる新たなサービス『Myセブン銀行アプリ』を2020年にリリース。コンセプトである”あなたの日常にいるアプリ”をさらに高いレベルで実現するために2021年11月に「UXD内製化支援サービス」提供を開始しました。セブン銀行の専任チームを編成し、ご支援をさせていただいております。

セブン銀行は、セブン&アイ・ホールディングス傘下でコンビニATM事業を中心に展開している銀行である。2020年には、最短10分で口座開設ができ、スマホだけでATMの入出金が可能なアプリ「Myセブン銀行アプリ」をリリースし、既存の銀行とも、ネットバンクとも異なる立ち位置を築いている。生活圏内に根差したコンビニATMをプラットフォームとしつつ、デジタルタッチポイントの拡充を推進する中どのように「Myセブン銀行アプリ」を成長させてきたのか、その軌跡と成果について2人のキーパーソンに話を聞いた。

セブン銀行の公式アプリ「Myセブン銀行アプリ」の位置づけとは

セブン銀行は、その事業の中核として、セブン-イレブンを中心に駅やスーパーマーケットに設置された現金自動預け払い機(ATM)を扱っている。セブン銀行と提携している金融機関は自らATMを設置・運用しなくても、セブン銀行のATMを活用し顧客へサービス提供が可能だ。その提携金融機関からの手数料がセブン銀行の収益となる仕組みである。セブン銀行 デジタルバンキング部 副部長 兼 グループ長 紙中 加代子氏は、ATMの重要性を次のように説明する。

「当社にとって、ATMはお客さまとのリアルなタッチポイントとして非常に重要です。現在はQRコードによる決済アプリへのチャージ、認証機能を使った各種給付金の受取などさまざまなサービスを提供しており、今後も拡大していきます」(紙中氏)

 一方で、ATM事業だけで収益の9割を占める現状に対し、顧客とのタッチポイントの拡大、新たな収益源の創出といった取り組みが求められていた。同社は事業の多角化のために、さまざまな模索を続けており、そのうちの1つが「Myセブン銀行アプリ」だ。このアプリが金融サービスを展開していく上での「デジタル領域のメインチャネル」という位置づけである。

「Myセブン銀行アプリは、『あなたの日常にいるアプリ』というコンセプトで2020年4月にリリースしました。最短10分で口座開設ができ、スマホだけでATMでの入出金を行えるのが特徴です。アジャイルでの内製開発により、お客さまのニーズを柔軟かつ的確に捉え、スピーディに応えられる体制を整えることで、日々の開発を推進しています。現在、新規口座開設の約8割は本アプリを経由しており、お客さまからも一定の評価をいただいていると考えています」(紙中氏)

 Myセブン銀行アプリの構想は、2017年頃からあった。そこでカギとなったキーワードが「内製化」と「アジャイル」だった。紙中氏は、当時の状況を次のように振り返る。

「当時は、世の中やユーザーニーズの急速な変化に対応するには、内製によるアジャイル開発が不可欠だという考えでアプリ開発の準備を進めていました。『なぜ内製なのか』『本当にできるのか』といった意見もありましたが、イノベーションを推進するセブン・ラボという組織が立ち上がったこともあり、新しいことを始めるにはよいタイミングでした」(紙中氏)

 こうして2019年から「Myセブン銀行アプリ」の開発がスタートする。開発体制は決して十分ではなく、内製によるアジャイル開発の仕組み、体制を模索しながらプロジェクトは進行した。そして2020年4月、最初のリリース公開を迎える。ただし、アジャイル開発の真価が試されるのは、アプリが公開されてからだ。それを裏付けるように、リリースから1年後、プロダクト開発チームは、新たなチャレンジに向き合うことになる。

内製+アジャイルでスタートしたアプリ開発の次なるチャレンジ

セブン銀行 デジタルバンキング部 副部長 兼 グループ長
紙中 加代子 氏

「2021年度からは、いろいろな機能をアプリに実装するプロジェクトが複数並行して立ち上がりました。そこでもう一度、このアプリのコンセプト、ターゲットとするお客さまを明確にし、セブン銀行の事業戦略に沿わせながら価値を提供できるよう、プロダクトマネジメントの体制を構築する必要がありました」(紙中氏)

 そのためには、ユーザーの声を聞き、ユーザーが何に困っていて何を求めているのかを把握し、それを適切なソリューション、機能としてアプリに落とし込まなければならない。

「しかし、同時に複数のプロジェクトが走っている中、アプリ全体で一貫性のあるユーザー体験を提供することは容易ではありません。この新たなチャレンジを我々と一緒に考えて、支援してもらえるパートナーはないかと考えたのです」(紙中氏)

 そこで同社が注目したのが、エムティーアイの「UXD内製化支援サービス」だった。

単なるUI/UXの設計支援ではない「UXD内製化支援サービス」とは?

 「UXD内製化支援サービス」は、ユーザーが製品やシステム、サービスの利用を通して得られる体験を設計する「UXD:User eXperience Design」を、最終的に自組織内で実行できるように支援するサービスだ。UIUXのプロセスを概念的に理解していてもそれを日々のプロダクト現場で実践していくことは容易ではない。調査、検証、分析などそれぞれのプロセスの中でも、実装する機能や目的などに応じて選択する手法はさまざまだからだ。

 机上では理解しながらもそれを実践するとなると何をどう進めるべきか苦慮している企業も多いのではないだろうか。

 エムティーアイの「UXD内製化支援サービス」は、こうした企業が抱える課題に応えるべく提供されている。UXD研修から実プロジェクトでのアドバイス・コーチング、実装まで顧客やプロジェクトの状況に適したプロセスを見極め、さまざまな活動を支援している。

UXD内製化支援サービスの全体像

 もともとエムティーアイは、「music.jp」「ルナルナ」などのモバイルサイトの構築・運営を通じてアプリ開発の豊富な知見・経験を持つ企業であり、Myセブン銀行アプリの初期開発の段階でプロジェクトに参画していた。セブン銀行 バンキング統括部 サービス開発グループ 山下 利花 氏は、エムティーアイとの最初のミーティングの印象を次のように語る。

「現在、困っていることをお話ししたら、他社の例も紹介いただきながら、我々が直面している課題を明確に指摘していただけました。プロダクトを取り巻く状況が開発当初より変化している点や、プロセスの課題や知見不足など……いろいろなレイヤーで課題がある状態で、正直なところ、私自身プロダクトオーナーとして課題を適切に言語化できていなかったのですが、そこをすぐに明確にしていただけたので、これなら支援をいただくことで前進できると確信できました」(山下氏)

「UXD内製化支援サービス」による支援内容と開発プロジェクトに与えたインパクト

セブン銀行 バンキング統括部 サービス開発グループ
山下 利花 氏

 エムティーアイによる「UXD内製化支援サービス」の提供は2021年11月からスタートした。セブン銀行の専任チームが編成され、現在、3カ月単位で必要な支援が提供されている。

「初めの3カ月は、リサーチ手法のレクチャーや走っている案件に一部入っていただいてコーチングなどをしていただきました。またユーザー中心設計を会社に広め、回し続けるための仕組みについての事例調査やディスカッションも定期的に行うなどして、主にメンバーの知見を増やすことに取り組みました。毎日、勉強、勉強で新しい知識を詰め込んでいました」(山下氏)

 2022年2月からはアプリの新機能の開発案件が立ち上がり、ゼロからデザインを検討することになった。エムティーアイのメンバーと一緒に、リサーチからデザイン検討、ユーザーテストまで実施をしたが、その際、最初の3カ月で学んだ知識が大いに役立ったという。

 さらに5月からは、複数の開発案件が五月雨に立ち上がった。ここではプロダクトオーナー(PO)として山下氏が案件全体の統括・判断を行い、エムティーアイがリサーチを実行するという役割分担で、ほぼ毎日、Teamsやミーティングでやり取りをし、スピード感を持ちながら進めた。

 また加えて、「最終的には自組織内でUXDを実行できるようになる」という目標達成に必須である、PO以外の仲間づくり活動も、エムティーアイと一緒に進めた。

Myセブン銀行アプリ UXD内製化支援サービスの変遷

 現在は、新しい機能を実装した「Myセブン銀行アプリ」のユーザー体験良化のためのプロジェクトが着々と進んでいるところだ。エムティーアイの支援の成果について、山下氏は次のように述べる。

「エムティーアイとは、ワンチームになってリサーチやUI案の検討を行えています。これによりユーザーの本質的な価値をプロダクトオーナーが正しく理解できるようになりました。またそれらのリサーチや検討の経緯も意識的に残してくれました。その結果、後々、開発がスタートして工数や優先度の関係で要件を変えなければならないときでも、ユーザーの価値を大きく損なわず、素早く意思決定することができました。エンジニアからAかBかを問われても、その場ですぐに判断できるようになったのです。その結果、開発プロセスのスピードの向上につながりました。これは大きい成果です」(山下氏)

 また、UXに関わるメンバーが増え、UXDのノウハウが組織的に醸成されてきている点も大きな成果だ。エンジニアやデザイナーから「リサーチの結果はどうなっていますか」「ユーザーストーリーマッピングはどうなっていますか」といった問いかけが行われたり、「自分達でミニマムにやってみましょうよ」という声が出てくるようにもなったという。

 最後に、エムティーアイへの今後の期待として山下氏、紙中氏はこう語った

「ここまで、3カ月ごとのスパンで、さまざまな階層のことをご依頼しているにも関わらず、スムーズに案件を遂行してもらっています。必要なメンバーの柔軟なアサイン、正しく素早い情報展開など、本当によくやっていただいていると思います。今後、Myセブン銀行アプリを、お客さまにもっと必要とされるアプリに成長させたいと考えています。そのためにもエムティーアイには、リサーチ結果をエンジニアにどう伝えるか、彼らの専門知識をリサーチのプロセスでどう効果的に組み込むのかといった領域まで踏み込んで、引き続き支援してもらいたいと考えています」(山下氏)

「最後は、セブン銀行自身でUXDを実行できることが目標ですが、さまざまなUXDのやり方やユーザー価値を高めるためのノウハウといった外の知見を取り入れられていることに非常に価値を感じているので、引き続き一緒にやっていけたらと思っています」(紙中氏)

 「あなたの日常にいるアプリ」を、さらに高いレベルで実現するために、UXDを自社のものとするというMyセブン銀行アプリチームのチャレンジは、エムティーアイの支援もあり、大きく進化・成長しつつある。その実現に向けて、エムティーアイの支援は、まだしばらく続くことになりそうだ。

※本稿は、ビジネス+ITからの転載記事です。(掲載日時:2022年9月26日)

セブン銀行 紙中様、山下様
お忙しい中、取材にご協力頂き、ありがとうございました。

株式会社セブン銀行
Myセブン銀行アプリ:
https://www.sevenbank.co.jp/personal/useful/app/mysevenbank/
取材日時:2022年8月
取材場所:オンラインにて取材実施
撮影:大参久人

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